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ペットブームの代償

皆さんこんにちは!
動物看護師の市川です絵文字

空が高くなり季節は秋めいてきましたね!

画像ど~も~
暑くて横着な水の飲み方をするりんごちゃんの姿も見納め


さてさて。
皆さんは「遺伝」と聞くと何を思い出しますか?

「この鼻の形はお父さんそっくり」
「耳の形がお母さんと同じだ」
とかでしょうか?
我が家の子ども達も「誰がどう見ても私たち親子ね絵文字」っていうくらい顔が似ています(笑)
遺伝とは簡単に言うと、子どもが親から受け継ぐ「特徴」みたいなものでしょうか。

今回はそんな「遺伝」に関わる病気のお話です。

遺伝子に変異が起きて引き起こされる病気を「遺伝性疾患」と呼びます。
変異した遺伝子は親から子へ引き継がれることによって、病気も引き継がれていきます。
日本は世界でも目立って遺伝性疾患の犬が多いと言われています。
例えば進行性網膜萎縮症、この病気は網膜が進行性に変性萎縮する遺伝病です。
夜間や暗い所で目が見えにくくなり、物につまづいたりぶつかったりするようになります。
進行すると昼間でも見えにくくなり、最終的には視力を失います。
プードルダックスに多い遺伝病です。

大型犬でよくみられるのは股関節形成不全症
生まれつき股関節のくぼみが浅く、大腿骨が関節内にきちんと納まりません。
後ろ足が不安定になるので散歩の途中で座り込んでしまったり、跛行がみられます。

潜在精巣(陰睾)も遺伝病のひとつです。
病院で検診の際に気づいたという飼い主さんも多いです。
画像
正面右が陰睾です。少し小さいのがわかりますか?

わんちゃんでもねこちゃんでも男の子は生まれたばかりの時は、精巣は腹腔内に入っていて成長するにつれて睾丸の袋の中に落ちてきます。
ですが、成熟の時期に達しても下降していない場合、潜在精巣とよびます。
精巣にとって腹腔内は温度が高すぎて精子をうまく作ることができなかったり、異常な高温環境では精巣腫瘍の発生を高めるという報告があります。
高齢犬の潜在精巣では腫瘍の発生率が10%以上とも言われています。

なぜこのような遺伝性疾患が多いのでしょうか絵文字
日本では特定の犬種に人気が集中したり、珍しい毛色の子たちが好まれたりします。
本来、変異遺伝子を持っている子たちの交配は避けなければなりません。
ですが、動物の健康や生活の質よりも需要優先の繁殖を続けた結果、遺伝病で苦しむ動物たちが増えたのです。

今、「空前の猫ブーム」などと言われていますが、ブームの陰でわんちゃん同様に遺伝性疾患を抱えたねこちゃんも増えつつあります。
売れるからという理由で偏った繁殖を続けることも、「可愛いから」という理由だけで衝動的に動物を買うことも「ペットブーム」の在り方を見直して欲しいと切に願うこの頃です絵文字